農地を守り地域を守る
新たな米作りへの挑戦

松田農産　松田朋和さん

照りつける真夏の太陽の下、田んぼの穂は黄金に色づき、大きく垂れる稲穂。串間市の米農家では、お米の収穫に追われていました。宮崎県の最南端に位置する串間市は、温暖な気候を生かして早期米作りが行われていました。今回訪れたのは、宮崎県串間市の南部で米作りと加工、自主販売をはじめ、稲刈りから乾燥、籾摺りまでの作業受託、そして、ごぼう、たばこ、繁殖牛の農業を営み、経営規模の拡大や多角化を目指す松田農産の経営者松田朋和さんにお話を伺いました。

松田農産
代表　松田朋和さん

串間市で先祖代々続く米農家に生まれた松田朋和さん。幼い頃から農作業の手伝いをしていたので、農業には慣れ親しんでいました。高校進学時に漠然と農業に興味を抱き、農業の勉強をするうちに「これは面白いな」と思うようになり、そのまま農大に進学しました。農大時代には、三股町でお米と牛の作業受託を積極的に取り組んでいる大規模農家で、1ヶ月ほど研修させてもらった時に、自分の目指す農業経営のかたちがみえはじめました。大学卒業後、さらにこの大規模農家で１年間の研修を経て、実家に戻ってからは生産規模拡大と一貫した作業受託のため、ライスセンターを稼働させ、大規模農業経営を目指しました。

自分たちの農地を
自分たちで守るために

農家の減少や高齢化、米価の下落などから作業委託が増え、耕作面積が拡大しています。管理を任された水田は、平坦な水田もあれば、手間がかかる水田もあります。長い歴史を刻んできた大切な水田を守るためにも、作業受託という方法でこれからの串間の農業を支えていきたいと考えています。忙しい時期が集中する時には、小さい頃から一緒に育った従兄弟の鶴田康太郎さんにオペレーターとして手伝ってもらっています。しかし、管理する水田の面積が次々と拡大し、田植えと稲刈りの時期には作業が追いつかないこともあり、効率的に農作業を進め、更なるおいしいお米を作るためには省力化と人手不足を補う経営に取り組むことが必要だと考えるようになりました。タブレット端末の活用による圃場管理や、ドローンによる農薬散布や追肥、自動草刈り機などの最先端のスマート農業に今は興味がありますが、近い未来、スマート農業を本格的に導入しなければいけない時期が来ると思っています。

こだわり農家の美味しい米作り

串間市は台風の影響を受ける頻度が高まる前に収穫を行う、早期米コシヒカリを主力品目として生産しています。そのため、一品種集中による収穫作業や乾燥施設利用など繁忙期が集中する時はオーバーワークになるため、松田農産では早期水稲の「コシヒカリ」に代わるものとして誕生した、台風にも負けない稲の強さ、収穫量がコシヒカリよりも1 5 ％多く、抜群の味の良さを兼ね備え、収穫時期が少し遅く作期分散が可能となる、新品種の「さきひかり」と「夏の笑み」を生産するようになりました。「夏の笑み」は、もち米のように粘りも甘みもあり、宮崎県のみ生産を限定しているレアな品種、そして、「さきひかり」は口の中に広がるコクと、もちもちとした食感が特徴で、特に美味しい品種です。

丹精込めて作った米だからこそ、松田農産では責任を持って販売し、串間市の米の価値を高めてPRし、串間市を盛り上げていきたいです。朝市やふるさと納税、オンラインショップをはじめ、今後は道の駅への出店など、お客様に食べたいと思っていただける米を作るため、失敗を恐れず挑戦を続けたいと思います。そして、3 人の子どもたちが私の背中を見て米農家という仕事に興味を持ってくれたり、生まれ育ったふるさとを誇りに思ってもらえるよう頑張りたいです。

多角化農業経営に
挑戦してみませんか

松田農産では、お米作りを志している方や新規就農で米を育てるノウハウを学びたい方など、研修生を募集しています。実践的な栽培・経営管理技術など自分が経験してきたことを伝えたいと思います。お米の栽培から出荷までを学びながら、同時に加工や自主販売といった多角的な農業研修が可能です。ぜひ、串間市で一緒に農業をはじめませんか。地域一体となって支援します。

串間の魅力と
おいしいご飯屋さん

外国人研修生を受け入れた際には、疲れを癒す「串間温泉　いこいの里」や動物たちとのふれあい体験ができる「都井岬」や「イルカランド」へ連れて行くと喜んでもらえるので、串間市おすすめのスポットです。

串間市には美味しい飲食店が数多くありますが、その中でも特においしいのが、串間駅交差点の近くにある「いよや磯料理」です。同級生のお店で、獲れたてで歯ごたえ抜群の新鮮なお刺身やサザエなど魚介料理が美味しいお店で、毎月同級生で集まってます。