代々受け継がれた
焼酎造りへの情熱と新たな挑戦

松露酒造株式会社

豊穣の秋、焼酎一筋にその道を極めてきた蔵人が五感を研ぎ澄まし、早朝から始まる原料処理やもろみ管理、蒸留、そして新酒の瓶詰めや出荷も並行しながら、蔵全体が最盛期を迎えています。南九州地方特有の火山の噴出物が堆積してできたシラス台地で天然ろ過された湧水、生産者さんが丹精込めて栽培した宮崎紅などのさつまいもや米、麦、そして熟練した蔵人と、様々な歴史的・地理的背景と伝統の技が一体となることで、本格焼酎が造られていました。
今回訪れたのは、郷土の焼酎を守り続けながらも、焼酎の新たな価値、新たな魅力を発信している松露酒造株式会社。代表取締役 矢野裕晃さんにお話を伺いました。

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松露酒造株式会社
代表取締役 矢野裕晃さん

自然豊かな宮崎県串間市に蔵を構える松露酒造株式会社は、1928年に数件の農家が集まり、協同経営で設立したのが始まりです。
創業当時より造られた地元くしまで定番の焼酎「松露」をはじめ、「心水(もとみ)」「うすにごり」などの芋焼酎を主に、米焼酎や麦焼酎など、県内外で愛される焼酎造りに取り組んでいます。1990年代には、販売規模を日本全国へ広げ、近年は焼酎の味わいや香りの追求とともに、本格焼酎の普及活動に努めています。
松露酒造の焼酎は、蔵ではもちろん、串間市のふるさと納税や市内のスーパー、酒店、宮崎市内はもちろん、全国でお買い求めいただけます。

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世界に誇る蒸留酒「焼酎」

本格焼酎は麹を使用した日本古来の製法で作り上げた蒸留酒であり、世界に誇る文化です。世界を見ると代表的な蒸留酒として、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、テキーラなど様々なものがあり、そのほとんどは、数年から数十年と長い年月をかけて樽やタンクの中で熟成されますが、様々な原料やボタニカル、樽の力を用いる事でその味わいを造っています。それに比べて本格焼酎は、米麹を造る事に始まり、さつまいもや米、麦など基本的に2つの原料を発酵熟成させたもろみを、蒸留(アルコールと水などの沸点の違いを利用してアルコール純度の高い液体として集める)して原酒を造ります。その後、原料本来の香味と旨味成分を生かす為、原酒の上澄みに浮く不純物を丹念に手作業で取り除き、貯蔵熟成されて出荷されます。昔ながらの製法で手間暇を惜しまず丁寧に焼酎と向き合い日々研鑽を重ねる事でシンプルかつナチュラルな飲み物でありながら、個性豊かな風味をお届けしています。丁寧さを欠くとすぐにバランスを崩してしまいますので、世界的に見ても日本らしさの現れた蒸留酒だと言えるでしょう。

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ただひたすらに、旨い焼酎を造るために

焼酎造りの過程の中で、仕込みや蒸留と同様に焼酎の個性を左右するのが、「熟成」の期間と貯蔵方法です。蒸留酒は、熟成期間が長いほどに風味や香りが変化して、上質なものへと仕上がる傾向にあり、4年程前から焼酎の熟成に注力し、味わいや香りを更に追求した焼酎造りに取り組んでいます。
現在、松露酒造のほとんどの焼酎は、じっくりと丁寧に3年以上の季節を重ねて熟成させているので以前に比べて、口当たりがまろやかになり、甘くしっかりとしたコクが感じられるよう熟成中の管理や原酒の設計に細やかな工夫を重ねて造り上げています。そして、これからも進化し続け、旨い焼酎造りに挑戦していきます。

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本格焼酎が秘めた可能性への挑戦

先代から受け継ぐ大切な経営資源をもとに、世代交代としてのこれからの命題の一つとして、今まで焼酎をお取り扱いいただいていなかったオーセンティックなバー等での、カクテルベースとしての焼酎の在り方や、近年始まったアジアやヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどへの輸出を強化し、世界へ日本の蒸留酒の啓蒙を図ることだと考えています。くしま市場、日本の市場、世界の市場のニーズにマッチした商品開発やそれぞれの市場において差別化を図った商品開発をすることが大事だと思っています。
松露酒造では、3年前から限定販売している「松露 Colorful」が人気です。現在首都圏では、焼酎の炭酸割りが少しづつ浸透してきましたが、10年ぐらい前から炭酸割りに合う焼酎を造りたいと「松露 Colorful」を商品化しました。アルコール度数30%ですが、自由に割ることを意識し、薄く割っても紅茶や白い花を思わせる華やかな香りやマンゴーやパッションフルーツのようなニュアンスを感じることができる焼酎です。
「松露 Colorful」は、これまで焼酎をあまり飲んでこなかった層を取り込むことができています。また、新商品として、2021年のバレンタイン前の発売を目指し、柑橘を原料にしたホワイトキュラソーの発売に向けて準備を進めているところです。日本で製造しているホワイトキュラソーは非常に少ないことから石上農園さんが生産している希少品種「せとか」の乾燥ピールを漬け込んだホワイトキュラソーの商品化を考えています。昔ながらの洋酒の製法で、せとかの皮にある白いワタの部分を包丁で削ぎ、一回茹でてアクを抜き、千切りにした後に天日干しでパリパリに乾燥したピールを焼酎に漬け込んで加糖します。その他詳しい事は割愛しますが焼酎は、チョコのような香ばしい風味が感じられる松露黒麦の原酒を使い、食後酒はもちろん、炭酸や水割りでも、マーマレードの様なコクがありながらも、爽やかな味と香りが楽しめます。オトナの女性を狙って、ちょっとした普段の贅沢がコンセプトになっています。
普段は芋焼酎をあまり飲まないという方にもおすすめの松露酒造が提案する焼酎カクテルレシピを、くしまオリジナルブランドのインスタグラムで紹介していますのでご覧ください。

くしまオリジナルブランド インスタグラム
@kushibura

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地域に根差して地域とともに発展する焼酎造り

地元くしまの生産者さんとの連携による地元原料の有効活用や原料から高付加価値化を図り、生産者さんとwin-winな関係を構築することに取り組んでいます。生産者さんと消費者を繋ぐ「繋ぎ手」の一員として、生産者さんと手を取り合い、くしまの資源「さつまいも」を通して新たな価値創造に挑戦し、第一次産業から消費までの循環を作り出すことができると考えています。
この数年さつまいも生産に壊滅的被害を与えているサツマイモ基腐病が串間市でも確認されたことを受け、串間市という町でさつまいもを主産物として維持するためにも、同地域にある蔵として、さつまいも生産者さんを応援したい、何かできることはないかといつも考えています。なかなか大きい事は出来ないのですが、焼酎の造り手として、焼酎をしっかりと製造販売し、生産者さんのさつまいもをできるだけ引き取っていきたいと思います。サツマイモ基腐病対策として、もし耐病性の高いさつまいも生産に切り替わった場合でも、松露酒造としては生産者さんの受け皿として、そのさつまいもを原料に旨い焼酎造りに挑戦していきたいと思っています。
今年は新たな挑戦として、新品種の焼酎原料である紫色のさつまいも「ムラサキマサリ」を原料として、仕込みを行いました。毎年、良質なさつまいもを揃えていただいているお取引先の吉国商店さんとコミュニケーションを取りつつ、地域文化や雇用を守り、松露酒造として協力できることは全力で協力し、生産者さんと一丸となって共に乗り越えていきたいと考えています。そして、昔から根底にあるのは、生産者である農家さんの努力で作られた素晴らしい原料のさつまいもがあるからこそ焼酎が作れることです。串間で創業し、もうすぐ100周年を迎えようとしていますが、これからも地元くしまの素晴らしい原料、またそれを作って下さる農家さん、飲み手の皆様と一緒に歩んでいきたいと思います。

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串間市の魅力と
おいしいご飯屋さん

長年に渡って支えてきてくださった地元くしまの居酒屋さんからスナックさんなど、皆さんが楽しめるお店が軒を連ねているので、是非くしまの夜の街を呑み歩いて満喫して欲しいです。最近は、「Spice Cactus」のスパイスカレーと相性が抜群な心水(もとみ)の炭酸割が気に入っています。気の利いたおつまみもあり、気軽に1人でふらっと立ち寄れる雰囲気のお店ですので、是非訪れてみてください。

串間市からこだわりの本格焼酎をお届け

松露酒造株式会社
住所 宮崎県串間市寺里1-17-5
TEL 0987-72-0221
公式サイト
Instagram @yano_hiroaki

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