世良田 明呼(あきこ) さん
- 福島地区
- 串間市 → 大阪府→ 串間市

職業は『世良田 明呼』
国の天然記念物に指定されている『御崎馬(みさきうま)』のガイドであり、
都井岬のナビゲーターでもある世良田明呼さん。
18歳のときに串間を飛び出して大阪へ、
8年間の都会生活の後に帰ってきた串間は、とても愛おしい場所となっていたそうです。
一度距離を置いたからこそ生まれる世良田さんの "串間愛"と "自分愛" のお話です。
何も得ずして帰ったらいけん
【串間からの逃亡】
世良田さん
地元の小中学校に通い、市内に一つの高校に進学し、何の疑問も持たずに18歳まで串間市で過ごしました。
小さい頃は海や山で遊んでいましたが、次第に田舎が嫌で嫌でしょうがなくなり、田舎から離れたい‼一心で、大阪の専門学校へ入学しました。
【都会での生活】
世良田さん
2年間の専門学校はそれなりに楽しかったのですが、卒業後、20歳の自分が何をしたいのか全くわかりませんでした。
とりあえず服が好きという理由で、Gパン屋さんでアルバイトを始めました。その後は事務職やアミューズメント施設、コーヒーワゴン、居酒屋、お菓子の卸し問屋、ブラシ工場と様々な場所での仕事を経験しました。
26歳まで色々やってみたけど、なにも自分にハマるものがなかったんです。
精神的に疲れていたんですが、「何も得ずして帰ったらいけん!!」と思っていました。
姉も弟もちゃんと就職していたし、気まずいなぁ、居場所もないなぁって....。
気持ちが行き詰まった夜に「そうだ、星を見てみよう」って、久しぶりに空を見上げたんです。
...そこに星は見えなかったんです。
それだけのことなんですが、気持ちに追い討ちをかけられたシーンでよく覚えています。
いよいよ八方塞がりになった時、母が「もう帰って来たら?」って言ってくれたんです。
こんな自分でも、帰れる場所があるっていいなぁって思いました。
【串間で運命の出会い その1】
世良田さん
串間に帰ってきて一番最初にしたことは運転免許を取ることでした。
大阪では必要性は感じませんでしたが、こちらの生活で運転免許は必須‼
免許取得後は串間温泉いこいの里や、お隣の志布志市で事務のアルバイトをしていました。
その頃に高校の同級生だった主人と再会したんです。
振り返ると今までに運命的なことがふたつあったんです、そのひとつが主人との出会いです。
彼もたまたま茨城から帰って来ていると友人から聞いて、高校の時の印象や成人式の時の印象を思い出して会いたくなり、久々に飲みにいって意気投合、結婚して二人の子どもを授かり今に至ります。
ずっと結婚なんかしたくないって思っていたのに(笑)。
人生って何がどう繋がっていくのかわかりませんよね。
【串間で運命の出会い その2】
世良田さん
私は「やってみよう」というハードルが低くて、「ダメだったら辞めよう」ってスタンスでいるんです。良くも悪くもフットワークが軽い、そしてずっと飽きっぽかったんです。
でも今の仕事の御崎馬ガイドは全然飽きないんです、7年やってるんですが毎日新鮮なんです。
都井岬との出会いは、ふたつめの運命だと思っています。
とはいえガイドを始める前までは "都井岬" に興味はありませんでした。近くに馬がいる場所ってくらいの認識です。
動物でも犬や猫は好きとか可愛いとかの対象だったけど、自分の人生に「馬」という存在はありませんでした。それがこんなに好きになるとは思ってもみませんでした。
ほんとに人生って何がどう繋がっていくのかわかりませんよね。2回目(笑)

ガイドになって、とにかく馬の勉強をしました。
同じ風景は一日としてない都井岬で、食べ物を探し家族と寄り添い自然の一部として生きてる馬って、すごいんです‼
子どもが産まれて "口にするもの" が気になりはじめ、自然なモノやコトを手に入れるって難しいって感じていた時期だったので、こんな近くにこんなにすごい存在がいたんだって驚きました。
馬から繋がって草、花、木々、馬が草を食む音、潮風の匂い、毎日通っているうちに都井岬を包み込むすべてが大好きになっていました。
意外と知られていないけど、御崎神社も岬灯台もめっちゃ魅力的な場所なんです。
そして都井岬に興味がないのって『実は自分と同じような串間の人なんじゃないか!?』って気づいたんです。
これは一回串間を離れたから気がつけたことです。
何もないところじゃなくて、当たり前すぎて見えてないだけで、魅力が沢山ある場所なんだってことを、まず串間の人に伝えたい。
そして自分がこの土地から学んだ、癒しや尊さを多くの人に知って欲しいと思っています。
ちなみに私のお勧めする楽しみ方は 、"推し"を見つけること。背中に番号があるので、気になる馬がいたら覚えておいてください。
私の "推し"は『37番』です、おかげで癒される機会が増えました。
今の時期は冬毛になっているので、頭から首、足まで "ふさふさ" している馬達に出会えますよ。
「疲れたな」ってときに訪れる場所のひとつが、ここ "都井岬" であればいいな。

世良田さん
今では『明呼(あきこ)』という名前の通り、自他共に認める "明るさを呼ぶ" 私ですが(笑)、
串間に帰ってきたばかりの頃は何をやっても中途半端で自信もなく、自分を好きになれない辛い日々を過ごしていました。
それでも "あれじゃないこれじゃない" と色々な景色を求めて、ようやく辿り着いた景色の中に今の自分がいます。地に足が着いてるって実感がすごくあるんです。
大嫌いだった場所が大好きな場所になったら、大嫌いだった自分が大好きになれたんです。
【移住を考えている方へメッセージ】
世良田さん
まずは気になる場所を訪ねてみるのがイチバンです。
その街の気分や雰囲気を肌で感じてみてください。
自分が感じたシンパシーを存分に堪能するといいと思います。
馬はそんな風に今をシンプルに生きています。

馬と同じくらい生き生きとして底抜けに明るい世良田さん。
自分を発掘する才能に溢れた方だなぁと思いました。
「今」が大好きだということが "バンバン” 伝わってきて
こちらまで幸せな気持ちになる取材でした。
おぷしょん 都井岬 野生馬ガイド
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