髙橋 素晴(すばる)・悠希 さん
- 市木地区
- 鹿児島県南大隅町→ 串間市

仕事が暮らし、暮らしが仕事
2021年3月に海のある南大隅町から海のある串間市市木に移住してきた髙橋ファミリー。
自然環境は大きく変わっていませんが、生活環境は大きく変わりました。
子どもも大人も自由になる暮らしやこれからのことを伺いました。
環境を用意する
14歳でヨットによる単独太平洋横断を成し遂しげた素晴さん。
大学在学中から自然学校や野外系ワークショップに携わり、サラリーマンを経て「自然の恵みと、人々の暮らしをつなぐ」をテーマにNPO法人を立ち上げ20年近く、体験教育や実践的な学びの場に取り組んでこられました。
NPOでは「地域の自給」や「暮らしのDIY」をテーマに、猪の解体、食品加工や調理、塩づくり、ソーラー発電やオフグリッド、火起こし、サバイバル、建築、林業など、多岐にわたるワークショップを開催してきたそうです。
現在は建築と伐採の依頼が増え、木にまつわるモノづくりを営んでいます。
【移住のはじまり】
素晴さん
市木で開催された子どもキャンプの企画に講師として呼んで頂いたのが最初のきっかけでした。その後、地域のこども達と一緒に丸木舟をつくるプロジェクトの講師を依頼され、3年がかりで、子ども達と地域の方々と一緒に取り組む中で、市木の子育て環境に惹かれました。
比較的仕事が忙しく、十分に家事や育児の時間がとれない日々も多かった。それでも時間は待ってはくれなくて、子どもはどんどん育っていく。 今しかない幼少期の貴重な時間を、このまま過ごしてしまっていいのだろうか、という葛藤がありました。 仕事もあるので、常に一緒にいることはできないけど、子どもにとってより良い環境を用意することはできる。 むしろ、それが大人の役割ではないかと考え、移住先を探して辿り着いたのが市木でした。
悠希さん
移住前も海の近くに住んでいたのですが、海で遊んでいる子どもはあまり見かけませんでした。きれいな海だったので眺めることはたくさんあったけど、海は生活の中にはありませんでした。
私も素晴の丸木舟ワークショップに子どもと参加したんですが、地元の子ども達が日常として海で遊んでいる風景を見て、市木に溶け込みたいと思ったのがきっかけです。
ここには皆んなそれぞれの暮らし方があって、色んな大人がいました。
「色んな考えや経験があるから、色んな生き方があるんだよ」と大人が説明するのではなく、子どもたちには生活の中で身をもって体感して欲しかったんです。

素晴さん
移住前も移住後も基本的に暮らしは変わっていません。
暮らしは変わってないけど家族ひとりひとりの自由度が上がりました。
ここにはコンビニもガソリンスタンドもない不便なところだけど、利便性や収益性ではなく、その土地の魅力や暮らしに重きを置いた人が多く移住しているので、気の合う人が多い。
以前は同世代が少なかったので、コミュニケーションは年上の方々ばかりでした。 今は地域づくりや子育ての取り組を同世代と一緒にできています。
長めの出張から帰ってきたときに「おかえり」と言ってくれる友達がたくさんいてくれることが嬉しいです。子育ての為に決めた移住だけど、自分にとっても居心地がいい場所となっています。
悠希さん
悠希さん 市木に移住を決めてからは偶然と縁が重なって、すんなり家が見つかりました。
移住してきてまず驚いたのは、子ども達が頻繁にお互いの家を行ったり来たりしていること。
そして何より親同志が信頼しあって、地域を信頼して、子ども達を任せていること。
登下校時、子ども達はたっぷり寄り道をします。そこで自然に触れたり、地域の人とコミュニケーションをとったり学校にはない何かを見つけてきます。
子どもは世界が広がったし、大人の私達の世界も広がりました。
先日、素晴さんは市木小学校の授業の一貫として、市木川下りのインストラクターをしていただき、
子ども達に故郷の美しい風景を見せてくれました。
自然の美しさや楽しさだけではなく、
自然の怖さ、自らで命を守る方法も教えてくれました。
いつどこでどんな時代が来てもいいように子ども達に教え伝えていきたい。
と、活動の場を広げています。

素晴さん
串間には高校はひとつで、大学はないから子ども達が串間から出て行ってしまう。中学から職業体験をする機会をもっと増やしたらいいんじゃないかと思って います。
自然豊かな串間でしかできない仕事を知って体験したり、串間にはクリエイティブで独創的な仕事をしている面白い大人がたくさんいるから、そんな大人達と触れ合うことで仕事だけじゃなく、生き方の選択肢も広がって行くんじゃないかな。
串間には自然の恵は充分あるので、そこに今潜んでいるクリエイティブや文化がプラスされたらより豊かな地域になると思います。
本来、PRなんてしなくたってこんなにいいところなんだから、どんどん人が移住してくるはずなんです。
【移住を考えている方へメッセージ】
悠希さん
店がなくて緊急時に困るとか、交通の便がなくて車での子どもの送迎が多いとか田舎は不便です。
素晴も言ってたけど不便さゆえのコミュニケーションやシステムがうまれていい感じのバランスになるので、不便さは思っているほど重要じゃないかもしれません。
移住への理想や条件は色々あると思うけど条件を厳しくしないことかな。必須条件だったことも実際住んでみると必須条件ではなくなっていることもあるし。条件に多少合わなくても、家族にとってのベストを考えて決めるといいと思います。
素晴さんの提案を聞いていると、串間のポテンシャルの高さをあらためて感じます。
魅力がどうしたら伝わるのか、もどかしくも感じていた気持ちが晴れていくようでした。

移動の多い素晴さんだからこそ悠希さんとの間には一貫した共有意識があって、
それが家族の安定に繋がっているのがよくわかりました。
髙橋ファミリーの市木での暮らし方に
これからの串間への提案のような気がして興味が尽きません。
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