串間市

串間市

新しい関係性が可能性を広げる〜福島高校「地域創生学」の取り組み(2)〜

 

 こんにちは。地域おこし協力隊の清山美咲です。

 

 現在福島高校で実施している「地域創生学」の授業について前回の活動レポートでは、「地域創生学」の授業を通して生徒にどのような力を身につけてもらいたいか、授業の目的と概要について紹介しました。

 

 前回の活動レポートはこちら↓

 「対話型授業を通して地域創生を学ぶ福島高校「地域創生学」の取り組み(1)

 

 今回は1年間を通して具体的にどのような取り組みを実践してきたかについて紹介していきたいと思います。

 

 高校生にできる地域創生は何だろう?

 

 地域創生学の授業では、「高校生にできる地域創生は何だろう?」という問いからスタートしました。

 高校生ができること、地元の名産品(芋)を活用すること、この2つを軸に何度も対話を重ねていく中で、「芋を使ったスイーツを通して、県内外の人に串間を知ってもらい、串間のファンになってもらおう」という想いが生まれてきました。

 「串間のファンになってもらおう」というコンセプトのもと、生まれた商品が「5種の芋を味わえるタルト」です。芋本来の味を楽しんでもらうために甘さを控えめにしたタルト生地に、好みの味の芋ペーストを自由に乗せて食べることができる体験価値を付加したのがこの商品のポイントになります。

 

 

 fullsizeoutput_4c9.jpeg

 

 (高校生が考案した5種の芋タルト)

 

 

 新しい関係性が可能性を広げる

 

 生徒が考案した「5種の芋タルト」をより多くの人に知ってもらうため、食べてもらうために、串間市内外から様々な方に協力していただきました。授業に関わる関係者が広がったことで地域創生学の授業内容も充実したものになっています。

 

 

 ①プロによる商品ネーミング・デザインの授業を実施

 

  

 商品が「5種の芋タルト」に決定するまでのプロセスやコンセプトにこそ、商品を受け取る側に伝えたい生徒の想いが沢山詰まっています。そこで、この授業では商品を作るだけではなく商品のパッケージも自分たちで作成することにしました。商品名考案とパッケージ作成に向けて、宮崎県内外で活躍されているデザイナーのヒダカアヤさんとコピーライターの畠山容子さんに「商品ネーミング・デザインの特別授業」を実施してもらいました。プロのお二人による特別授業を受けて、商品名は「タルティング・イモ」に決定しました。パンフレットのデザインは高校生でも簡単にできる切り絵で作成しました。

 

 fullsizeoutput_4c7.jpeg 

   

 fullsizeoutput_4c6.jpeg

 

(ヒダカ氏と畠山氏による特別授業の様子)

 

 fullsizeoutput_4be.jpeg

 

 fullsizeoutput_4bb.jpeg

 

 fullsizeoutput_4c1.jpeg

     

 (授業を受けて生徒が考案したパンフレット)

 

 

 ②串間市移住体験ツアーで「5種の芋タルト」を提供

 

 生徒が考案した「5種の芋タルト」を提供する実践の場として今回は、串間市で移住体験ツアーを実施している新くしま人応援隊に協力していただき、ツアー2日目に「5種の芋タルト」を提供しました。

 福島高校の生徒たちがツアーの参加者に直接タルトを振る舞い、また、味や見た目などについてのインタビューを行いました。

 

 

  IMG_3753.JPG

 

(ツアー参加者が好みの味の芋ペーストをタルト生地に乗せいている様子)

 

 

  IMG_3889.JPG

 

 (5種の芋タルトの感想をツアー参加者にインタビューしている様子)

 

 

  IMG_3550.JPG 

 

 (タルトを提供する際の試食会場貸出とタルト生地作成は、松米ランドの松田香里さんに協力していただきました。)

 

 

 地域創生学の授業を通して見えてきたこと

 

 今回紹介した2つの実践に共通していることは、「高校生が主体的に考えたアイデアを応援したい」という想いでつながり実現しているというところです。

 多くの方々が想いでつながったとき、これまでにない可能性が生まれます。地域創生学は、多くの関係者に恵まれました。ここに、地域コミュニティづくりの大切な形を見ることができました。

 

 

 移住ツアーが終わった後の振り返りの授業で生徒に「地域創生学の授業を1年間受けてみてどうだったか」授業の感想を聞いてみました。

 

 

 ・どうすれば串間の魅力を伝えられるか。それを考えるのが難しかった。

 ・地域の人たちに助けてもらったからできた授業だと思う。自分たちだけで考えるのはとても難しかった。

 ・タルトが正解だったかは分からないけど、「5種の芋タルト」というベストな答えを自分たちで考えて実践できたことは面白かった。

 

 

 これは1年間を通して実践してきた生徒だからこそ返ってきた感想だと思います。

 地域創生学の授業に1年間関わったことで、「地域創生の取り組みは、誰も正解が分からないからこそ難しい。だからこそ関係性を広げていきながら、今できるベストな実践を重ねていくことが大切である」ということを改めて実感しました。

 

 

 最後に

 

 *5種の芋ペーストを提供していただいた、株式会社くしまアオイファーム

 *パンフレット作成に協力していただいた、ヒダカアヤさん、畠山容子さん

 *今回ツアーでタルト提供を快く引き受けてくださった、新くしま人応援隊の皆様

 *タルト生地の製作のお手伝いをしていただいた、松米ランドの松田香里さん

 

 地域の方々の協力があったからこそここまで実践することができました。

 ありがとうございました。

 

 

  IMG_3930.JPG

 

 (串間市移住体験ツアーでの集合写真)

総合政策課