串間市

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なぜ、地域おこし協力隊になったのかー未来志向で対話し、コミュニティを再創造するー

 

 こんにちは。串間市地域おこし協力隊の清山美咲です。
 私の業務内容は「移住定住の促進、地域コミュニティ活動に関する支援活動」です。具体的には、移住希望者の方の相談対応、移住パンフレットの作成、空き家バンクの相談対応、今年度に入ってからは地域連携組織立ち上げに向けた支援などを行なっています。

 

 移住業務と同時に力を入れている業務に福島高校「地域創生学」での対話型授業の実施があります。昨年度、2回に分けてレポートを書きましたが、私が一番大事にしている「なぜ、対話型授業なのか」という背景については話す機会はあまりありませんでした。

 これまでの私は、普段どのような想いや背景から、どのような活動をしているのか、もっと色んな人に話を聞いてもらいたいと思いつつ、「伝えるならばしっかり顔を合わせて直接伝えたい」にこだわり、「いつかそんな機会があればいいなぁ。」と思うばかりでした。

 でも、地域おこし協力隊の任期も残り1年となった今、「これからは実践の背景や意図も含めてちゃんと残していきたい」と思うようになりました。

 

 そこで、これからは取り組みの内容に加えて、理論的な背景を随時レポートをしていきたいと思います。
 今回は、「私が地域おこし協力隊になろうと思ったきっかけ」についてです。私が、「対話」をベースにした地域づくりをしたいと思った背景について話しをしたいと思います。

地域の課題が他人事から自分ごとに変わったきっかけ

  

 私は大学時代に対話をベースにしたまちづくりについて学んできました。
「まちづくり」という、捉え方も成功のイメージも人それぞれ違うこのテーマを学ぶ中で、一番ピンときた考え方が「未来志向」と「対話」でした。

10年後、20年後にどうなっていたいかを描き、実現していく「未来志向」

 

 少子高齢化社会、地域コミュニティの希薄化、財政危機、地球温暖化など私たちを取り巻く課題はどんどん複雑になってきています。ここでいう「複雑」とは、課題解決のためには一人ひとりの参加が必要であり、専門家だけでは解決することができない状況をいいます。

 
 当時大学生だった私は、それらの課題を直接目の当たりにした訳ではないけれど、「このままいくとどうなるのだろう」という未来に対する漠然とした不安を感じたことは確かに覚えています。それと同時に、この不安に対して、「何をしても変わらない」「私には関係ない」「きっと誰かが解決してくれる」と、他人事のまま過ごしていくこと、世の中にそういう声が蔓延することは、とても悲しいことだと感じました。そんな時に学んだのが、「未来志向」という考え方です。

 
 未来志向とは実現したい未来を先に設定して、そこから現在を振り返りながら今やるべきことを導き出す考え方です。未来とはどうなるか分からない不確実なものだからこそ、思い切ったビジョンを描くことができる「未来志向」という考え方は、できない現実に絡み取られ、思い切って行動してみることが苦手な私にとってとても力強い考え方でした。

 

 今の現状で実現しそうか、しそうでないかではなく、私はどんな未来を望んでいるのか。そのために、今どんな行動をしていく必要があるのか。そのことに集中して実践していくことは地域おこし協力隊での活動でも大切にしています。

一人ひとりが知恵を持ち寄りながら、共に実践していくために必要な「対話」

  

 大学時代は、未来志向で描いたビジョンを実現するために「対話」が必要であることも学びました。
 一般的な話し合いの方法として議論がありますが、議論は効率的に話し合いが進む一方で、参加者全員が合意していない状態で次に進んでしまうことがあります。地域の課題のように住民一人ひとりの参加が必要な場面においては、「お互いに考えていることも感じていることも違う」という前提に立ち、その違いを尊重し合うことから始める、対話の必要性が増します。

 
 実際に対話の場に参加して気づいたことは、お互いの違いを尊重し合うことを前提として話し合いを進めることは、良好な関係性を維持できるだけでなく、一人ひとりが知恵を持ち寄るための話し合いの土台もできるため、複雑な課題に対応していく際にはとても効果的であるということです。

なぜ、地域おこし協力隊なのか

 

 「Think globally, Act locallyー地球規模で考え、足元から行動していく」

 

 これは私が大切にしている言葉の一つです。高齢化社会や地域コミュニティの希薄化、財政危機といった課題は、私一人ではどうにかできる問題ではありません。でも、そのことに諦め感を抱き、「私にできることは何か」と考えることを辞めてしまった先にある未来は、本当に私たちが望むものでしょうか。

 
 こんなことを言ったら、「そんなの理想だ」「そんなこと考えている暇はない」と言われてしまいそうですが、この理想を実現できる可能性はあるということを信じ、できることから(足元から)実践したい。"どこか誰かのために"ではなく、私たちにできることから実践したい。そう思い、私は信頼関係をベースに試行錯誤しながら実践していくことができる仕事として地域おこし協力隊を選びました。

「未来志向」と「対話」を軸に描いたビジョン

 

 このイラストは、私が地域おこし協力隊に着任する前に描いたものです。

 

 

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 お互いを認め合うことを前提として話し合う「対話」を通して、一人ひとりの価値を共有し、できることから行動していく。そのことを繰り返して行うことが、10年後、20年後の幸せ溢れる串間につながっていく。そんな「未来」を描いて串間市地域おこし協力隊に着任しました。今でも、この時描いたビジョンは変わらず持ち続けています。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。次回は、昨年度に引き続き関わらせていただいている福島高校「地域創生学」での取り組みについて紹介したいと思います。

総合政策課