串間市

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人の食事をサポートすることについて

H31年3月22日(金)串間市総合保健福祉センター

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人生において食べるということがどういうことなのかを考えつつ、医療現場の現場と日本人の健康寿命などのデータをもとに、いかにして食べることの幸せを守っていくのかについて講座が開催されました。

・・・ちょっと小難しく言ってしまったかも。。w

どんな講座だったかというと、「食べるって、楽しい!おいしいって、幸せ♪その幸せをみんなで支えられるようになろうよ!」ってザックリ言うとこんな感じ。

実は昨年けんなん病院にて取材させていただいています。(活動報告:最期の最後まで「食べたい」です!

昨年は医療関係者向けの実習でした。その時に「一般向けに開催していただけるといいのにな。」と思っていたので、けっこう嬉しい♪

 

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講師は全国各地で活躍中の小山珠美先生です。(NPO法人口から食べる幸せを守る会 理事長)

講座内の冒頭でこんな話が。。。。

「日本は世界一の長寿国でありながら、世界一の胃ろう大国なんです。」

※胃ろう:口からの食事ができない方に直接胃の中へチューブを経由し栄養摂取すること。

  

・・・・・・まぢで??ちょっと待って、それってどういうこと???

 

実は日本では健康寿命と実際の寿命とは約10年の差があって、その間どういう状態になっているかと言うと、要介護状態なんですって。何らかの支障のある身体と付き合いながらの生活を送っているんだそうです。

そこには人の手もかかり、

チューブでつながっている方もたくさん。

医療費もたくさんかかる。

胃ろうや点滴で栄養摂取。

・・・・・・。

・・・・・それが約10年。

 

ゾッとしました。そんなの考えられない!しかも串間ですよ!おいしいものがいっぱいあるところなのに最期の約10年間おいしいものが食べられないんだよ!!

 

イヤだー!!そんなのイヤだーーーーーー!!!

絶対イヤだーーーーーー!!!! 

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現在家族の中に寝たきり状態になっている方がいたり、医療介護関係のお仕事に就いている方も受講されていました。一番身近にいる人が食べられなくなるのも、、、見ていられないかも。周りが支えてあげられるようになりたいですよね。

 

 

で、さらに翌日。3月23日(土)けんなん病院 多目的ホール

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朝から医療関係者向けの講座と実習です。

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院外・市外から参加多数!医療関係者と一言にしても職種は様々。歯科衛生士さんや内科の先生、管理栄養士さん、言語聴覚士さん、理学療法士さんや作業療法士さんに一般・医療事務の方々などバラエティ豊か。

 

昨日から引き続きこちらの講座でもよく耳にしたのは「包括的なスキルを身につける!」ということです。この「包括的」って、なかなか使いにくい言葉ですが、「どこからどこまでしかやりません。それ以外のことは仕事しないわ!」っていうスタンスではなくて「誰もが気にかけて、誰もが助けられるようにしようよ!」という動きです。ちゃんとその人の「食べること」を守るために、マネジメントと支援や介助するためのスキルを身につけたいところ。

 

 

午後からは・・・・・

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実習です。これが面白い!どこから始まるかと言いますと、、、、

 

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なんと寝ている状態から食べるまでの姿勢を整えるところからスタートします。え?スプーン持つところからじゃないの??と思うかもしれませんが、この姿勢っていうのもすごく大事なことで、、、、、

 

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角度によって食べられなかったり、こぼしてしまったりすることも。

↑今年も出てきました!実習現場ではスマートフォンで傾斜測定。実習中はもちろん実際の食事介助の現場でもスタメンアイテム。

 

こちら研修中に用意されていたゼリーです。試食させていただきました。

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紅茶と緑茶の2種類。じつはこのゼリー、水分だとむせてしまう方にお茶を飲むような感覚で食間に食べてもらうためのものなのです。いわゆる食事中に飲むお茶の代用品。それを試食する際、準備されていた管理栄養士さんから「噛まないでそのままで飲み込んでみてください。水分が多いのでスーッと入っていきますよ。」と言われました。

 

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はーい!とは言え、ゼリーを口に入れてそのまま飲み込むって、なかなかできないんですよこれが!!

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ちょっとびっくりしました。口の中に何かが入ると反射的に噛んでしまうのです。「え?どーしよ??噛んじゃう!飲めない!」と若干焦りながら、口に含むこと3さじ目でなんとか噛まずに飲めました。

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あまりにも食べるときには噛むことが当たり前に行われすぎていて「噛まないで」と言われるとすごく違和感がありました。やっぱり噛んでいないからダイレクトに喉の奥へ滑り込んで行ったような感じがして、お茶を飲んだ感触ではありません。

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そうして食べたゼリーがおいしいか?と問われるともちろん、おいしくない。

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・・・この喉を通る感じが・・・ブルーな気持ちにさせられました。健康的な私でさえ噛まずに飲み込んだ時には違和感を感じたんだから、身体に支障をきたした方が食べられるように回復するには、献身的なサポートがないと、きっと諦めたりくじけてしまったりするんだと思うんです。「食事です」って出されたものをおいしく食べられない苦痛って、どんどんブルーになっていく。食べることでさえ嫌いになってしまいそう。

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ということは、我々は食事に支障をきたす身体にならない限り、食事を当たり前にしすぎているんだと思うのです。あまりにも「食べる」ことは当たり前になっているけど「食べさせる」ことは無意識・無知識では難しいんですね。小山先生は全国キャラバンとして食事サポーターを増やす取り組みを展開されています。

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でも、食事をサポートすることは手段でしかなく、目的ではないのです。

目的は「最期まで幸せなひとときを楽しめる生活を送ること。」なのです。人が当たり前にある食べることの幸せを守りたい。そんな思いでみんなが生活できればいいなぁ。串間は一次産業が強いし、おいしいものが豊富にあるところ。「おいしいものをずっと食べられる街」として食べること・食べることをサポートすることが当たり前になればけっこうスゴいはず。

 

そんなことを考えさせられた2日間でした。

 

 

 

[Special Thanks!!]

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・口から食べる幸せを守る会のみなさん

・小山珠美先生

・竹市美加先生

・清山恵美先生

・けんなん病院のみなさん

 

[ 施設紹介 ]

医療法人十善会 けんなん病院

〒888-0001

宮崎県串間市大字西方3728

Tel:0987-72-0224/Fax:0987-72-5967

HP:http://www.kennan-hospital.or.jp/

総合政策課